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【整備業界情報】創業120年以上! 最古級の「橋本屋」に、激変期を乗り切る秘訣を学ぶ【前編】

整備業界情報 自動車産業動向

今回は東京都心で自動車整備を手掛ける(株)橋本屋様のストーリー、前編です。元々は食用油の問屋さんでした。


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都心の狭い敷地で約5000台を管理。いったいどうやっている?

「自動車の発明は20世紀最大のイノベーションだった」とはよく言われる話ですが、その自動車業界がいま「100年に1度の大変革期」を迎えているのはご存知のとおりです。変革期は企業(人材)の淘汰を促しますから、自動車整備業界も含めて、自動車業界全体では今後、生き残る企業(人材)とそうでない企業(人材)の二極化が進むことは間違いなさそうです。

「大変革期」と呼ばれるような時期は過去に幾度も到来してきましたが、激動する時代の中で変化にうまく適応し、生き残ることができた企業はそう多くありません。東京都豊島区で自動車整備事業や自動車用特殊燃料調達事業などを営む『(株)橋本屋』は、その数少ない企業のひとつです。

『橋本屋』の創業は1897年(明治30年)で、なんと120年以上にわたる社史を有しています。ドイツ人のゴットリープ・ダイムラーとカール・ベンツによってガソリンエンジン車が開発されたのが1885~1886年頃ですから、橋本屋はその約10年後に誕生したことになります。また、日本の国産自動車第1号(「蒸気」自動車でした)は、1904年(明治37年)に製作されています。

ちなみに、現存する日本最古の自動車メーカーはダイハツで、その創業は1907年(明治40年)のこと。つまり『橋本屋』の歴史は、日本最古の自動車メーカーより古いことになります。今回はその『橋本屋』を訪ね、大変革期を乗り切る秘訣を含め、さまざまな話をうかがってきました。対応してくださったのは、同社取締役の江島哲也さんと、同社民間車検場テックス大塚支店長を務める佐藤昭也さんです。

同社ウェブサイトに掲載されている沿革を見ると、創業者は東原槇彌という人物で、その氏名からは、屋号の『橋本屋』との関連性が見い出せません。

「伝えられている話では、初代はもともと長野県で旅籠(旅館)を営んでいたそうです。旅籠を構えていた場所が橋のたもとだったことを由来に、屋号を『橋本』と命名したようです。旅館では食用油を大量に扱いますから、先代はそこにビジネスチャンスを見い出し、一念発起して東京に進出。明治30年に、都内で油問屋を開業したことが当社の始まりです」(江島取締役)

株式会社橋本屋
江島哲也 取締役
第4回整備技能競技東京大会優勝
第9回全日本自動車整備技能競技大会総合第4位入賞

 

 

逆境から自動車整備事業に集中

1900年代に入り、日本は激動の時代を迎えました。日露戦争や太平洋戦争など複数の戦争を経験した後、高度経済成長期に突入します。江島さんの説明にあったように、橋本屋は戦前まで食用油を扱っていましたが、終戦を機に商材を工業用油に転換。その後、時代の変化に合わせ、高度経済成長期の昭和33年から整備工場とガソリンスタンド事業をスタートさせました。しかし平成16年(2004年)に、ガソリンスタンド事業から撤退しています。

「当時はガソリンの値段がとにかく安く、タイヤ販売も量販店に押され気味で、ガソリンスタンドの経営がどんどん厳しくなっていきました。一方で、整備や車検事業は先行きの見通しが明るかったことから、オーナーの経営判断でガソリンスタンド事業から撤退。空いた土地に駐車スペースを作ることで、当時から取引があったリース会社さんからの受注を増やしていくことにしたのです。以来、ここテックス大塚は自動車整備事業一本でやって来ています」(江島取締役)

聞けば、東京都豊島区内で民間車検場を営む15社のうち、13社は「ディーラー系整備工場」で、純然たる民間整備工場は『橋本屋』を含め2社しかないそうです。佐藤さんはその理由を、「山手線内側のエリアは、そもそも整備工場を構えるには厳しい環境だからです。テックス大塚も、『地の利』には恵まれていません」と話します。

「大きな街道沿いに店があるわけではないですし、周囲には複数の鉄道路線が走っており、クルマが必要な土地柄でもありません。そのうえ若者のクルマ離れが進んでいますから、経営環境が良いとはとても言えないですね」(佐藤店長)

しかも都心ということもあり、テックス大塚の敷地はお世辞にも広いとは言えず、むしろ狭い部類に入ります。その狭い敷地内に、顧客から預かったクルマがそれこそ「すし詰め」状態で並んでいました。

「現在、約35社のリース会社さんとお付き合いさせていただいていて、管理している車両はおよそ4500台になります。リース会社さんからお預かりしている敷地面積あたりの車両台数では、おそらく日本一でしょう。それに加え、個人のお客様からも整備や車検を請け負っています」(佐藤店長)

この狭い敷地で数千台もの預かり車両をいったいどのように管理しているのか気になるところですが、近年の「カーシェアリング」の普及により、「今後、取り扱い台数がさらに増えていくことが考えられます」と、江島取締役は予測しています。

「狭い敷地、限られた人員、恵まれない立地などの悪条件にあって、お客様の期待に応えていくにはどうすればいいか。常にそれを念頭に置いています。これまでにも、入出庫の見える化を図ったり顧客志向の組織体制を構築したりするなど、あらゆることの『仕組み化』を進めて厳しい場面を乗り越えてきました。環境への適応や変化への対応は当社の得意とするところで、創業時から連綿と受け継いできたDNAのようなもの。今後も、さらなるビルドアップを図っていきたいと考えています」(江島取締役)

後篇では、『(株)橋本屋』が実践している「仕組み化」の内容やポイントについて紹介します。

株式会社橋本屋 ウェブサイト

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(掲載日)2021年2月12日

 

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