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「トータルエイミング」で、特定整備時代を乗り切る【後編】

整備業界情報 自動車産業動向

ナルネットコミュニケーションズと日本の自動車整備機器メーカー最大手である株式会社バンザイは共同で、『特定整備制度と“トータルエイミング”』と題したセミナーを開催しました。その内容をご紹介するリポートの最終回です。


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OBD車検に備えて:スキャンツールの購入は、よく考えてから

「ホンダが自動運転『レベル3』の機能を搭載した新型『レジェンド』を2020年度中に販売開始、『レベル3』の実用化を国が認可したのは世界初」──昨年11月11日のこのニュースに興奮した人も多いのではないでしょうか。

道路交通法に照らせば、自動運転『レベル2』までは、運転支援機能の内容に関係なく、ドライバーがすべての運転操作(周囲の状況監視を含む)を行なう必要がありました。『レベル3』からは、自動運行装置が運転操作を行なっている間に限れば、ドライバーは運転(乗車)中にスマホをいじる「ながら運転」が許されるようになります。

『レベル5』の完全自動運転の実現まではまだ遠いものの、一定条件下で運転を一任できるクルマがいよいよ手に入る時代がやって来ました。

クルマが日進月歩の勢いで進化していく中、自動車整備事業者が打つべき次の手は何でしょうか。今回も、ナルネット・コミュニケーションズと自動車整備機器最大手の株式会社バンザイが共同で開催したセミナーの模様をリポートします。

第1回のリポートでは、2020年4月にスタートした「特定整備制度」のあらましについて、第2回では、認証要件などについて解説しました。今回は、2024年10月から運用がスタートする「OBD車検」についてお伝えします。

周知のように、OBDとは『On-Board Diagnostics』の略。公式には『車載式故障診断装置』と訳されており、ABSやESC(横滑り防止装置)、自動ブレーキなどの運転支援装置などについて、スキャンツールを用いて車検時に確認することを指します。OBD車検の運用スタートは2024年10月からで、輸入車は2025年10月のスタートです。

セミナー講師を務めた株式会社バンザイの福田守利さんによれば、「OBD車検による車検の合否判定は、『自動車技術総合機構』が運営するサーバで行なわれます。法定スキャンツールにインストールした『特定DTC(保安基準不適合の故障コード)照会アプリ』を通じて、車両の照会や合否判定結果の送受信が行なわれる仕組みになっています。同機構は、特定DTCやECU情報(故障コード読み出しに必要な技術情報)を一元管理する独立行政法人です」とのことです。

スキャンツールをつなぎさえすれば、車検の一切合切をサーバが処理してくれるのかというと、そんなことはありません。OBD車検では、以下の3つの項目をコンピュータが診断します。

1.運転支援装置(ABS、ESC、自動ブレーキなど)
2.自動運転機能(レーンキープ、自動駐車など)
3.排ガス関係装置

「各自動車メーカーがECU情報や特定DTCを作成して自動車技術総合機構に提出し、同機構がそれらを一元管理しつつ全国の車検場や整備工場へ提供します。自動車整備工場は、点検整備の際、スキャンツールでDTCを読み取って故障箇所の特定等に活用し、特定DTCが検出された場合は車検不合格となります」

ツールメーカーは、OBD車検を視野に入れた新型機器の開発に着手していると伝えられています。既存のスキャンツールがOBD車検でそのまま活用できるのか気になっている人も多いのではないでしょうか。

福田さんは「率直に言って、そのまま使用できるかどうかわかりません。通信規格をはじめさまざまな条件が決まってきます。以前から使っているスキャンツールが法定スキャンツール認定を受けられない可能性もあります。いずれにせよ、新規でスキャンツールの購入を考えている事業者は、動向を見極めてから購入の時期や機種の選定を判断すべきでしょう」とアドバイスします。

OBD車検の正規運用までしばらく時間的余裕がありますが、運用開始後のトラブル続出を防止するため、2021年10月からOBD車検のプレテストが実施されることが決まっています。当初は運輸支局に持ち込まれる車検車両のみが対象となりますが、段階的に対象車種などを拡大していく方針だと言います。

2020年4月1日の特定整備施行、そして2024年10月のOBD車検スタート等々、自動車整備業界は待ったなしで対応が求められています。こうした時代において、株式会社バンザイは自動車整備事業者向けに『トータルエイミング』というコンセプトを提案、訴求しています。

「そもそもエイミングは、スキャンツールを使ったコードの読み出し作業の『前提』として行なわれるものです。ボディ計測器やアライメントテスターで車両の基準値に適合しているか否か、タイヤの空気圧が適正かどうかをチェックした後で、初めてスキャンツールでの作業となります」

車両制御技術の進化の裏返しで、現代のクルマは、タイヤの空気圧に少し問題があっただけで車両の進行方向とセンサーの方向に狂いが生じ、各種システムの誤作動等を誘発する可能性があります。福田さんは、「『トータルエイミング』は、カメラやレーダーのキャリブレーションのみならず、車体の歪みや足回りの整備など様々な項目についてチェックする重要性を伝えるものです」と説明し、そのプロセスを以下の6工程に分けて紹介しました。

①入庫時検査

②タイヤの空気圧チェック

③ボディ計測

④4輪アライメント計測

⑤エイミング実作業

⑥試運転、故障診断

福田さんは、上記各工程に対応する株式会社バンザイ製機器を簡単に紹介。その後、「⑤エイミング実作業」で実際に使用する『マルチエイミングボード』『センターサポートナビ』(いずれもバンザイ製)を使用した実技研修が行なわれました。

衝突軽減ブレーキを装備する車両のカメラエイミングターゲットの設置位置を、簡単に導き出すことができる『マルチエイミングボード』。
車両中心線をレーザーによって正確に割り出す『センターサポートナビ』。車体下をのぞき込まずに、後方のレーザー照射を確認できる鏡スタンドがセットで付いています。

クルマの急激な進化に伴い、スキャンツールを有効活用できるかどうかが整備事業者の命運を左右する時代がやって来ることは間違いなさそうです。エイミングに悩んだり苦労したりしている事業者は、そのすべてをサポートする株式会社バンザイ製品群の購入を検討するのもひとつの手かもしれません。

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(掲載日)2021年3月19日

 

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