前編に引き続き、ナルネットコミュニケーションズと自動車整備機器最大手の株式会社バンザイが共同で開催した『特定整備制度と“トータルエイミング”』と題したセミナーの模様をリポートします。
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第1回のリポートでは、2020年4月にスタートした「特定整備制度」のあらましについて簡単におさらいしました。特定整備では、単眼・複眼カメラやミリ波レーダー、赤外線レーダーなどが付いた装置の脱着や交換、調整をする際には国の許可、すなわち自動車特定整備事業の認証が必要となります。では、どうすれば認証を取得することができるのでしょうか。株式会社バンザイの福田守利さんは、「新たに追加された電子制御装置の要件を満たせば、特定整備工場として認証を得ることができる」と説明します。
認証機関である地方運輸局は、特定整備に関して以下の3パターンを想定して事業者の認証を行なうとしています。自動車整備事業者は、設備や人員、市場ニーズなどを鑑みて、どの認証パターンにするかを決める必要があります。
①従来の分解整備のみを行なうパターン
②電子制御装置整備のみを行なうパターン
③分解整備及び電子制御装置整備の両方を行なうパターン
まず①の「従来の分解整備のみを行なうパターン」については、特別な手続きは必要ありません。②と③の「電子制御装置整備のみを行なうパターン」「分解整備及び電子制御装置整備の両方を行なうパターン」はそれぞれ認証を取得する必要があります。
もっとも、特定整備制度はすぐに「厳格適用」されるわけではなく、4年間の経過措置期間が設けられていますが、福田さんは「経過措置として認められるケースには条件があるので注意が必要」と話しています。
「2020年3月31日までに、今回新しく認証が必要となった電子制御装置の整備。すなわちエイミングを行なったことがある事業所については、2024年(令和6年)3月31日まで、引き続き電子制御装置の整備を行なうことができます。つまり4年間は猶予期間になるわけです。車体整備事業者や自動車ガラス修理業者も対象事業者に該当しますが、経過措置期間については、実際に行なっていた作業のみに限定されてしまいます」
一方で、2020年3月31日までに電子制御装置の整備を行なったことがない整備事業者、については、今からエイミングを行なう場合には、新たに電子制御装置整備の認証を取得しなければなりません。
電子制御装置整備では、整備に必要な事業場(電子制御装置点検整備作業場)やメカニック(従業員)、工具(整備用スキャンツール等)などの要件が定められています。そのため、事業者によっては設備投資が求められる可能性があります。例えば従業員では、一級整備士の国家資格を持った技能者または講習を受けた二級整備士と整備主任者が必要となり、特定整備事業者へ移行するためには、整備主任者を配置する必要が生じます。整備主任者の資格要件に関しても1年間の経過措置が設けられていますが、以下のような条件が設けられています。
1.資格要件を満たしている整備主任者が、事業所内に1人以上いること
2.2021年3月31日までに「講習」を修了する内容を記した計画書を提出すること
ここでいう講習とは、既存の整備主任者法令研修(法令)に最新の電子制御装置整備の内容を含めた法令研修を指します。この講習を受講して試験にパスすることで整備主任者として選任されます。これらに加えて、新制度に伴う設備を導入して陸運支局に申請し、受託・承認されてようやく特定整備認証工場として活動できるようになります。
さらに福田さんは、「特定整備制度は、今後変化していく車検の前準備として重要な要素となります」と付け加えます。
「特定整備制度の運用がスタートしたことにより、2021年10月1日から自動車点検基準の改正が行われます。点検項目に『OBDの診断の状況』が追加されます。要はスキャンツールを使用した点検が必要になります。猶予期間の有無にかかわらず、このときまでに新認証を取得していなければ、『指定工場』はエイミングができなくなってしまいます。『まだ余裕があるから大丈夫』とのんびり構えるのは禁物です。指定工場は、2021年9月末までに必ず認証取得のためのアクションを取ってください」
ご存知のように、OBD は「On-Board Diagnostics」の略で、国交省の言葉を借りれば「車載式故障診断装置」になります。次回のリポートでは、この『OBD車検』について紹介します。
※特定整備の各種要件などの詳細は、国交省ホームページに掲載されている「特定整備制度概要」でご確認ください
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