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顧客からも従業員からも支持される工場の作り方(後編) ──多々内モータース商会 多々内丈雄社長インタビュー

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今回は、愛知県岡崎市の「多々内モータース」の後編をお届けします。


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常に「先頭集団」に居続ける

整備人材の確保や後継者不足への取り組み、高度化する自動車技術への対応、黒字化達成による健全経営の実現など、整備工場の経営者に求められるハードルは年を経るごとに高くなっています。前回に続き、愛知県岡崎市の多々内モータース商会(以下多々内モータース)社長の多々内丈雄さんに、整備事業者が直面する数々の課題を乗り越えるヒントを訊いてきました。

合資会社 多々内モータース商会
社長 多々内丈雄さん

多々内モータース ウェブサイト

 

 

多々内モータースは、年間車検台数約1600台と愛知県岡崎市周辺地域ではナンバーワンの実績を誇り、その大半をリース車両が占めています。多々内さんは、「トップを目指しているわけではありませんが、なるべく『先頭集団』に属しているよう心掛けて経営してきたつもりです」と言い、その方針に基づいて設備投資などを進めていると話します。

「最近で言えば、やはり特定整備をいかにうまく運用していくか。そこを強く意識していますね」(多々内さん)

最新の『自動車整備白書』によると、交通事故発生件数の減少の影響で、整備工場への入庫台数は減少傾向が強まっており、事故整備全体の売上高も減少しています。これは、先進安全技術の普及で事故そのものが減った影響によるものですが、その一方でエーミング、すなわちレーダーやカメラなどの高額部品の調整や交換が必要となるケースは増加の一途をたどっており、整備単価自体は上昇傾向にあります。

「エーミング作業への対応は、一時的には設備投資によるコスト増を招きますが、長期的には収益増をもたらすと考えており、車両1台あたりにかかるエーミング時間を短縮できれば大きな収益が期待できます。特定整備需要は確実に増えていきますから、そこにターゲットを定め、しっかり『対応できる』体制を整えてさえおけば、たとえトップにはなれなくても『先頭集団』には入っていることができるはずです。先頭集団に居続けるためには、やはり世の趨勢にしっかりついていくことが大事。外部環境が変わっているときに自分たちが変わらなければ、どんどん劣化していくだけですからね」(多々内さん)

環境変化に対応しつつ可能なかぎり高度な整備技術を提供するため、多々内モータースでは1000万円近い投資を行ない、エーミング関連機器を含む多くの新機材を導入。機器選びの根底には、使いづらい道具は整備士のストレスとなり、ミスを招きやすくなる、という考えもあったようです。

「エーミング関連機器に関しては、できるだけ使いやすく、作業時間の短縮が期待できる機材を導入しました。複数社のものを試し、最終的にAUTEL社のものを選んでいます。経営者の視点で言えば、良い機材を入れることはお金で『時間』を買うことに他なりません。作業時間の短縮により、お客様をお待たせする時間を短縮することもできますから、そのぶんサービスの向上にもつながります」(多々内さん)

将来を見据え、工場の「価値」を高め続ける

一般論として、『生産性が高い』と言われる整備工場は、仕事を細分化して付帯業務をできるかぎり少なくする工夫を心がけているものです。多々内モータースでも、整備士の負担を極力減らして作業の生産性を高めるための取り組みを実践していました。

「例えば、弊社のフロントスタッフは全員女性ですが、お客さまとのやり取りは、すべてフロントの女性スタッフのところで完結させるようにしています」(多々内さん)

具体的には、クルマの修理や不調に関する問い合わせや質問を電話で受けた際に、その電話を整備士に回答させるのではなく、女性スタッフに自ら回答させるようにしていると言います。

「一般的に、女性は『自動車に詳しくない』『メカが苦手』といったイメージがありますが、お客さまからの問い合わせには一定のパターンがありますから、一度そのパターンを覚えてしまえば、その後は整備士の手を煩わせることなく、女性スタッフだけで対応できてしまいます。例えば、『エンジンがかからなくて困っている』といった問い合わせが来たときも、複数の原因から類推して正解を回答するといったことも可能になります。経験を重ねることでどんどんスキルが上がっていき、より高度な質問にも答えられるようになっていきます。『クルマのことはわからないから』と、そのたびに整備士に電話を取り次いでいると、お客さまを待たせることにもなりますし、整備士の作業の手も止めてしまうことになります」(多々内さん)

このように、多々内モータースでは分業を促進することにより、整備士が他のことに煩わされずに集中して作業できる環境を整えています。多々内さんは、「ストレスなく働くことができないと、いい仕事はできません。クルマはお客さまの『命』を乗せて走っているわけで、そのクルマをお預かりしてメンテナンスする立場の整備士には、できるだけ気持ちよく働いてもらいたいと思っています」と意図を説明します。

「一昔前は、『女じゃ話にならないから、男に代われ』と言われるケースもありましたが、最近はそもそも女性のお客さまが増えていますし、男性のお客さまでもクルマにお詳しいとは限りませんので、女性スタッフだけでもうまく運用できています。むしろ女性のほうが相手に対する『当たり』が柔らかいので、好評を博しているところがありますね」(多々内さん)

さて、自動車整備業界が抱えている問題のひとつに後継者不足、すなわち事業承継問題があります。この問題に頭を悩ませている経営者は多く、蓄積してきた経営手腕や技術、資産を、次世代へどう伝えていくのかが業界全体の課題となっています。

聞けば、多々内モータースも家族や親族に適当な後継者候補が見当たらないとのこと。そのため多々内さんも、そう遠くない将来に事業承継問題に直面することになります。

「後継者が見つからない場合、事業承継についてM&Aを考えなくてはいけないかもしれません。いざ話が持ち上がったとき、『ぜひ譲渡してほしい』とあちこちから声がかかるように、今のうちから会社の価値を高めていくことに注力していきたいと思っています」と強い決意を口にし、話を締めくくりました。

後継者の育成もM&Aによる譲渡も一筋縄ではいきませんが、高い技術を持ち、地域に結びついて事業を営んできた整備工場の場合、経営者を含む当事者ですら気づいていない魅力や価値を所有しているケースが少なくありません。例えば、工場の敷地や社屋、リフトをはじめとする整備機器は立派な資産であり、高い価値がつくこともあります。それ以上に、長年にわたって培ってきた経営ノウハウや整備ノウハウ、地域の顧客はより大きな無形の財産です。

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(掲載日)2021年11月13日

 

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