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技能実習と何がどう違う? 新たな在留資格「特定技能」の教科書(前編)

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ナルネットと株式会社JJSの共催で行った外国人採用WEBセミナーの内容をお伝えします。充実した内容を3回に分けて解説。まずはその1回目です。取引先様向けメールマガジン「なるほど! ナルネット!!」よりコンテンツを紹介します。

人手不足解消の切り札として、外国人材に熱い期待

少子高齢化に起因する人手不足で各業界が悲鳴を上げる中、新たな採用ターゲットとして注目を集めている人材が『外国人』です。外国人材には仕事に対するモチベーションが高い人が多く、最近では、日本を代表するグローバル企業から中小企業に至るまで、幅広い分野の企業から『戦力』として熱い期待を集めています。

『若手を採用しやすい』『多様性が生まれて社内が活性化する』など、外国人材の雇用には多くのメリットがあることから、活用を検討している整備工場も多いのではないでしょうか。とはいえ、外国人採用の経験を持たない経営者や人事担当者の中には、『採用フローがわからない』『コストはどの程度?』『採用後のフォローとして何が必要?』などなど、具体的なイメージが持てずに不安を抱えていたり雇用に及び腰になったりしている人も多いかもしれません。

そうした整備事業者に向けて、外国人材の戦力化支援に力を入れているナルネットコミュニケーションズは4月22日、株式会社JJS(以下JJS)の松里優祐 代表取締役を講師に招いたオンラインセミナー『採用コストが技能実習の半分になる!? 新制度「特定技能」とは?』を開催しました。今回のメルマガでは、当日の模様をレポートします。

セミナーの冒頭、ナルネットコミュニケーションズ営業推進本部の盛田雄一 プロデューサーが人手不足を裏付ける各種データを紹介し、現状と課題の共有を行ないました。

「自動車整備業界で働く従業員は約40万人で、この数字はほぼ横ばいで推移してきました。一方で、平成30年時点で有効求人倍率は4.46倍となっており、人手不足が顕在化しています。しかも整備要員の平均年齢は40歳超。法務省の統計では2年後の2023年までに、日本全体で1万3000人の整備士が不足すると見積もられており、事態を重く見た日本政府は2019年4月に『入管法』を改正し、新たな在留資格である『特定技能』を設けました。本セミナーでは、人手不足解消の切り札になると期待されるこの『特定技能』について解説いたします」(盛田プロデューサー)

技能実習は『研修目的』でコスト高
特定技能は『就労目的』でコスト安

講師を務めた松里さんが代表を務めるJJSは、ネパール人などの外国人人材サービス等を提供する企業。2017年創業の若い企業ながら東京とネパールに拠点を構え、ネパールやヴェトナムなど東南アジアから正規の手続きを経た外国人材を日本企業に紹介しています。
松里さんは、「今回のセミナーでは、『技能実習と特定技能の違いを理解していただくこと』、『特定技能が自社に適しているか否かを理解していただくこと』の2点を目的としたいと思います」と述べた後、本題に入りました。

株式会社JJS
(ジャパンジョブスクール)
代表:松里 優祐

JJSウェブサイト

 

 

 

 

自動車整備事業者が外国人材を受入れる場合、従来からある『技能実習』と、2019年に新設された『特定技能』の2つの手段が主に考えられます。松里さんによればこの2つは制度の『目的』が大きく異なっています。

「技能実習が日本の技術やノウハウを発展途上国へ移転するための『国際貢献』であるのに対し、特定技能はずばり『日本の人手不足解消』を目的の柱としています。技能実習で就労する外国人は『研修生』という位置づけですが、特定技能はそもそもが『日本で働きたい』と考えている外国人のために作られた『就労目的の在留資格』ですから、就労する外国人は『働き手』『戦力』という位置づけになっています」(以下すべて松里代表)

『受入対象』については、技能実習の場合は海外から人材を受け入れる必要がありますが、特定技能の場合は海外に限らず、日本国内に在留している外国人も受け入れられる点が特徴です。

「技能実習の場合、海外の『送り出し機関』が受入日本企業のニーズに合わせて、技能実習生候補者の募集を行ない、入国前研修を施してから実習生を送り出します。このとき、日本企業と送り出し機関の間を取り持つのが、国内に約3000機関ある『監理団体』です。対する特定技能は、監理団体ではなく『登録支援機関』と呼ばれる機関がコーディネイトして受入後の支援をするというイメージで、最大の違いは、特定技能は、送り出し機関を通さずとも外国人を受け入れることができる点にあります(※国ごとに制度やルールが異なり、送り出し機関を通す必要があるケースもあり)」

受入側の企業にとって最も気になるのは、『トータルでいったいどの程度のコストがかかるのか』という点ではないでしょうか。松里さんは『受入企業が負担する費用』に話題を移しました。

「技能実習、特定技能のどちらを利用しても入社前後に相応の費用がかかります。技能実習では、入社前は一人当たり40~80万円程度、入社後は、本人の給料と住居費用に加えて、監理費として3~5万円程度の金額が必要になります。最大のポイントは、『最低賃金』での雇用が認められている点です」

一方の特定技能では、入社前は一人当たり30~40万円程度、入社後は本人の給料に加えて、2~3万円程度の監理費が必要になると言い、松里さんはポイントとして『給料は日本人と同等でなければならないこと』を挙げます。

「ひとくちに日本人と言っても職種によって給料の額は異なりますが、ここで言う日本人とは、採用する外国人と同じポジションで働いている日本人のことです。特定技能では最低賃金での雇用が認められていないとはいえ、初期コストやランニングコストは技能実習よりも低く抑えられる傾向があります」

セミナーはWEBテレビ形式(ZOOM)で行われました。

 

 

 

 

特定技能で受け入れた場合、なぜトータルコストは安く済むのでしょうか。松里さんは、「一部の国によっては現地の送り出し機関や監理団体などの仲介機関を通す必要がなく、その分のコストを浮かすことができるため」と解説します。

「技能実習では、日本企業での就労をあっせんする見返りとして、実習生に多額の金銭を要求するといった悪質な団体の存在が問題となったことがあります。そのため特定技能では、送り出し機関や人材会社が外国人から金銭を徴収することが禁じられています。現地の送り出し機関にとっては、悪く言えば『うま味』が少ないためか、現在までのところ、この特定技能に本腰を入れて取り組んでいる送り出し機関が多くないこともコスト減に寄与しています」

次に、松里さんは外国人が日本で働くための『資格取得の条件』について説明します。

「技能実習に関しては特に必要がない一方で、特定技能に関しては、就労を希望する外国人は日本語能力検定のN4以上に合格することと、定期的に行われる当該職業の技能試験に合格する必要があります。ただ、技能実習で3年間実務経験を積んだ外国人が特定技能に移行する場合、これらの検定や試験が免除されます」

また、技能実習、特定技能はどちらも『在留資格』であり、それぞれに在留期間が定められています。技能実習のケースでは基本3年間(※例外あり)、特定技能のケースでは5年間ですが、松里さんは「建設業などで認められている『特定技能2号』という在留資格では、就労期間の定めがなく永続的に働くことができます」と言い、「自動車整備業界においても、いずれ特定技能2号への移行が認められるようになるかもしれません」と、期待を滲ませます。

採用する側から見ると、せっかく雇用した外国人がすぐに退職してしまったり転職してしまったりしては意味がありません。技能実習、特定技能において、外国人の転職は認められているのか気になっている人も多いのではないでしょうか。

「技能実習では転職は禁じられていますが、特定技能では、就労する外国人は『日本人』と同等の扱いとなるため、転職は可能です。受け入れ企業にとっては早期退職のリスクがあるため、この点を気にされる方が多いのは事実です。ただ現状では、特定技能で就労した外国人が転職したケースはほとんどありません」

この後、松里さんは『入社までにかかる時間』について説明。技能実習と特定技能の違いを簡単にまとめると、以下のようになります。

技能実習と特定技能の比較まとめ

どちらの制度も一長一短ありますが、外国人に戦力として長期間活躍してもらうことを希望する場合は、やはり特定技能の活用がベターと言えるでしょう。

次回のメルマガでは、その『特定技能』の詳細と核心に迫ります。

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(掲載日)2021年5月21日

 

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