ナルネットと株式会社JJSが共同で開催した海外人材活用WEBセミナーもいよいよ最終回。「特定技能」受け入れの具体的な手順のお話です。取引先様向けメールマガジン「なるほど! ナルネット!!」よりコンテンツを紹介します。
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外国人材の戦力化支援に力を入れているナルネットコミュニケーションズは先日、採用難や人手不足に頭を悩ませている工場経営者や人事担当者に向けたウェビナー『採用コストが技能実習の半分になる!? 新制度「特定技能」とは?』を開催しました。前篇・中篇に引き続き、今回は後篇としてそのウェビナーの模様をレポートします。
講師を務めた株式会社JJS代表取締役の松里優祐氏さんは、以下の8つのポイントを挙げて『特定技能』制度を解説しました。最終回となる今回は、⑤~⑧のポイントについて紹介していきます。
①自動車整備分野で特定技能が設置された理由は?
②特定技能外国人が従事できる業務とは?
③外国人が特定技能資格を取得するための条件とは?
④特定技能外国人を受け入れることができる企業の条件とは?
⑤外国人雇用後に求められる『継続的な支援』とは?
⑥登録支援機関とは何か
⑦勤務開始までの流れはどうなっている?
⑧勤務スタート後の流れはどうなっている?
株式会社JJS
(ジャパンジョブスクール)
代表:松里 優祐
日本で働く外国人には、言葉以外にも多くの障壁が待ち受けています。不安を抱えがちな外国人が安心して働けるように、そして日常生活や社会生活をスムーズに営んでいけるように、受入企業には、特定技能外国人の生活支援を行なうための『支援計画』の作成と、その計画の実施が義務付けられています。支援計画は日本語で作成するだけではなく、外国人が内容を理解できる言語でも作成し、その写しを提供する必要があると同時に、出入国在留管理庁に提出する義務もあります。
では、支援計画にはどのような内容を盛り込めば良いのでしょうか。松里さんは、次の10項目を挙げてポイントを解説しました。けっこう難しい条件が並びますが、以下は必ずしも受入企業が行なう必要はなく、代行機関に委託することができます。その代行機関のことを『登録支援機関』と呼び、松里さんのJJSもそのひとつです。
特定技能外国人が日本で働き、生活する際に留意しておくべき事項について、受入企業は、外国人に対してあらかじめ情報を提供する義務があると言います。それが『事前ガイダンス』です。
「受入企業は、業務内容や労働条件などについて、外国人がきちんと理解できるように説明しなければなりません。そのため、外国人が充分に理解できる言語で説明することが求められます。ヴェトナム人ならヴェトナム語で、ネパール人ならネパール語での説明が必要になります」
では、具体的に何を説明すればいいのでしょうか。松里さんは、「従事する業務の内容や労働時間、休日、給与額のほか、入国時に送迎サポートを受けられること、住居に関して支援が受けられることなど、多岐にわたります」と説明します。
文字どおりの意味で、受入企業は、外国人が日本に入国、あるいは日本から出国する際に、空港や港で送迎をすることが義務付けられています。
「この支援は外国人の『失踪』を防止することが目的です。『入国の手続きを受ける空港・港等』と『特定技能所属機関の事業所・または外国人の住居間』の送迎を行なう必要があり、出国する際の送迎では、単に空港等へ外国人を送り届けるだけではなく、保安検査場の前まで同行し、入場を確認する必要があります」
日本に知人が少ない外国人が、賃貸契約時の保証人を探すことは容易ではありません。「住む場所がない」「家が借りられない」という理由で自動車整備士の仕事に就くことをあきらめざるを得なくなるケースを防止するために、受入企業には、住居に関する支援が義務づけられています。具体的には、『不動産仲介事業者や賃貸物件に関する情報提供』『住居探しへの同行』『契約に必要な保証を行なうこと(連帯保証)』などが挙げられます。
「外国人が自分で住居を用意できない場合は、受入企業が物件を借り入れる、または、所有する社宅を提供する、などの方法で住居を提供する必要があります。注意してほしいのは、居室の広さや徴収する家賃についても細かなルールが定められていることです。居室の広さに関しては、一人当たり7.5㎡以上(四畳半以上)のプライベートスペースを確保しなければなりません。いわゆる『タコ部屋』はNGです」
特定技能外国人が円滑に働き、そして生活を送るうえで必要な情報を提供するための支援です。提供が求められる情報として、『生活一般に関わる事項』『国または地方自治体に対する手続き方法』『相談・苦情を申し出る機関の連絡先』『医療体制・機関に関する事項』『防災・防犯・急病時の対応方法』『法的保護に関する事項』などが挙げられます。
「簡単に言えば、日本のルールやマナー、金融機関や公共機関の利用法、災害時の対応など、特定技能外国人が日本で社会生活をきちんと営めるようにガイダンスすることです。提供する情報を充分に理解してもらうために『8時間以上』のガイダンスが求められており、この際も外国人が充分に理解できる言語で実施することが必要です」
役所など公的機関での各種手続きは、日本人でも面倒で難解だと感じることがありますから、外国人にはなおさらです。そのため特定技能外国人を受け入れる企業は、必要に応じて住居地や社会保障、税に関する手続きに同行したり、書類作成の補助を行なったりする必要があると言います。
「公的手続きの例としては、住居地の変更届出、健康保険・厚生年金保険に関する手続き、在留期間の更新や変更の申請、課税証明書の申請などが挙げられます」
外国人の日本語上達を支援する目的で、地域の日本語教室などの情報提供、自主学習のための日本語学習教材などの情報提供、日本語の講習機会の提供のいずれかを行なうことが義務付けられています。「求められているのは、あくまでも『情報』の提供のみ。ハードルは高くありません」と、松里さんは話します。
特定技能外国人から、仕事や日常生活に関する苦情や相談があった場合、受入企業は速やかに対応して、アドバイスや指導などを行なう必要があると言います。また、必要に応じて相談内容に合った公的機関(例えば地方出入国在留管理局や労働基準監督署など)を案内したうえで同行し、手続きのサポートを行わなければなりません。
「簡単に言えば、職場や日常生活で困ったことがあったときに、対応できる体制をきちんと整えておきなさい、ということです。対応についても、外国人本人が理解できる言語で行なう必要があります。なお、外国人が苦情や相談の申し出をしやすくするために、相談窓口の連絡先リストなどをあらかじめ渡しておくことが望ましいとされています」
特定技能外国人と日本人との交流を促すために、受入企業は必要に応じて、地方公共団体やボランティアなどが主催する地域住民との交流の場に関する情報や、町内会などの地域の案内を行ない、各行事への参加手続をサポートするほか、場合によっては同行して各行事の注意事項や実施方法を説明するなどの補助を行なう必要があると言います。
「これについても、『情報』の提供だけで問題ありません。地域のお祭りなど日本の文化に触れる良い機会があれば、その情報を外国人に提供してください、という内容になっています」
会社都合による解雇、あるいは倒産など、特定技能外国人に責任がない理由で離職を余儀なくされる場合、受入企業は、公共職業安定所や職業紹介事業者などの紹介や転職活動の支援を行なう必要があります。
「具体的な支援として、求人を探す手伝いや推薦状等の作成などが挙げられ、失業給付などの行政手続きに関する情報提供も求められます。もちろん外国人本人の都合による離職の場合は必要ありません」
受入企業は、外国人が安定して自動車整備の仕事が続けられるように、最低でも3カ月に1回以上の頻度で、支援責任者または支援担当者が、外国人あるいはその外国人を監督する立場にある人間(上司など)と定期的に面談を実施して、情報収集を図る必要があります。
「電話やメールではなく、必ず対面して話をする必要があり、当該外国人が充分に理解することができる言語で実施しなければいけません。日本語で充分にコミュニケーションがとれる場合は、もちろん日本語でOKです」
また、この面談で『労働基準法に違反』『労働安全衛生法などの労働法令に違反』『入管法に違反』などの問題が明らかになったときは、労働基準監督署やその他の関係行政機関に通報する必要があります。松里さんは、「もし違反があった場合、報告書を作成して関係機関に提出する必要があります。この作業はかなり手間がかかります」と、説明します。
出入国在留管理庁ホームページより(http://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nyuukokukanri01_00133.html)
冒頭でも書きましたが、これまでに説明してきた特定技能外国人の支援計画の実施は、必ずしも受入企業が行なう必要はなく、代行機関に委託することができます。その代行機関が『登録支援機関』です。
「特定技能外国人の支援では、書類作成などで専門的な知識が必要になるケースも少なくなく、受入企業が自ら支援を行なうことが難しい場合もあります。そんなときに、支援計画書の作成と実施を代行する機関が登録支援機関で、弊社JJSも登録支援機関として国(法務大臣)から認可を得ています。気軽にご相談ください」
特定技能を利用して外国人を雇用するまでの大まかな流れはどうなっているのでしょうか。松里さんによれば、以下の6つのステップを踏むことが一般的だと言います。
『応募者を募集して選考実施』→『雇用契約の締結』→『支援計画を策定』→『在留資格認定証明書の申請』→『外国人が自らビザ(査証)を申請』→『勤務開始』
「海外から外国人を呼び寄せた場合、勤務開始までにかかる期間の目安は3~6カ月。一方で、日本にいる外国人を特定技能外国人として雇用する場合、勤務開始まで2~6カ月ほどかかるイメージです」
特定技能外国人が自動車整備士として勤務をスタートさせた後は、前述した支援計画の実施が求められます。
松里さんは、「四半期ごとの対面面談や相談・苦情への対応のほか、1年ごとのビザの更新が必要になります。特定技能外国人の在留期間は上限が5年となっていますから、これらを5年にわたって繰り返していくイメージになりますね」と述べ、ウェビナーを締めくくりました。
『人材不足の解消』『優秀な若手を採用しやすい』『多様性が生まれて社内が活性化する』『新たな視点の獲得』など、外国人材の雇用には多くのメリットがあります。人手不足に頭を抱えている工場は、ぜひこの機会に、特定技能制度による採用を検討してみてはいかがでしょうか。
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