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クルマを修理できる人がいなくなる前に、いま考えるべきこと①

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ナルネットコミュニケーションズは海外人材紹介の活動を展開しています。第一弾はカンボジア人整備士です。


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活躍の場を求めるカンボジア人整備士たち

世界でも類を見ないスピードで人口減少と高齢化が進んでいる日本では、各業界で人手不足の影響が顕著に現れ始めています。自動車整備業界もその例に漏れず、「整備人材が集まらない」「後継者が育たない」と頭を抱えている整備工場も多いのではないでしょうか。

「このままではクルマを修理できる人がいなくなってしまう」──危機感を共有するナルネットコミュニケーションズ(以下ナルネット)と、リユースやリサイクル事業などを展開するリネットジャパングループ(以下リネット)は昨年12月、自動車整備士におけるカンボジア技能実習生の送り出しに関する業務提携を締結。タッグを組んで、この問題の解決に乗り出しました。今回はリネット傘下のリネットジャパンHR社の加藤祐宣社長を訪ね、幅広く話をうかがいました。

リネットジャパンHR株式会社
加藤祐宣 代表取締役社長

 

 

 

リネットジャパンHR社は、外国人技能実習制度を利用した人材の提案と受入企業への定着サポートを、カンボジア現地での送出し機関運営通じての人材育成の上、提携監理団体と一体となって行なっている企業です。

「なぜカンボジア?」と思った人も多いかもしれませんが、加藤社長によれば、リネットは長きにわたってカンボジアでビジネスを通じた社会課題解決事業に取り組んでおり、現地とは太い絆と強い信頼関係でつながっているそうです。

「弊社グループはインターネットを使ってモノを再循環させる事業で発展し、そのノウハウを活用してASEAN諸国の発展に貢献したいと考えました。中でも第一次産業が中心のカンボジアにおいて、日本に眠る中古農機を調達してリースすれば現地の農業生産性を高めることができ、最貧層の人々の生活水準の向上に寄与できるのではないかと考え、JICA(国際協力機構)とともに活動を展開してきたのです」(加藤社長)

一方で、カンボジアは近年になり新たな社会問題に直面します。それは「交通事故」でした。

「カンボジアでは国民の死因の第一位が交通事故なのです。原因のひとつは、交通・整備インフラの貧弱さ。整備工場自体が少ないですし、整備履歴が不明で最低限の整備すら施されていない中古車がたくさん走っており、トラブルが絶えません」

リネットは、2016年からカンボジア国立職業訓練学校で自動車整備士の育成に注力。日本語整備教材の現地語対訳から手がけるなど、ゼロから教育に取り組んできました。もっとも、総人口約1600万人のカンボジアは、自動車マーケットが大きくありません。加藤社長によれば「現在のカンボジアの発展レベルは、日本の昭和30年代に相当するレベル」とのことで、年間の新車販売台数もわずか3万台程度(日本は約500万台)。このことは、自動車整備士の受け皿が少ないことを意味しています。

カンボジアの自動車整備要員は学んだ理論を実践する場を求めており、一方の日本は深刻な整備士不足に見舞われている──カンボジアの自動車整備要員に日本で働いてもらえば、双方のニーズを満たすことができます。リネットは人材の送出し機関の設立を進め、2018年より国立職業訓練大学校の卒業生を中心に優秀な候補者を選定し、入国前研修を徹底したうえで、日本への送り出しをスタートさせました。

残業OK! カンボジア人は仕事に対する熱量が半端なく大きい

リネットでは2018年以降、すでに100名以上のカンボジア人整備人材を日本に送り出してきました。加藤社長は「『残業をいとわない』『とにかく真面目』『とても優秀』『頭がいい』など、就労先からの評判はすこぶる高いです」と目を細めます。そう聞いても、「日本語で意思疎通できるのか」「マネジメントする自信がない」など、外国人整備要員の受け入れに不安を感じる工場も少なくないかもしれません。加藤社長は「勇気を持って一歩を踏み出すべき」と、背中を押します。

では、整備要員としてのカンボジア人の魅力や特徴はどこにあるのでしょうか。加藤社長は説明します。

「ひとつは、『熱量』が大きいこと。彼らは日本で技能を身につけ、将来のためにお金をたくさん稼ぎたいという強い思いを持っています。クルマに興味を失い、整備士の仕事を敬遠する日本の若者と異なり、発展途上のカンボジアでは『クルマ』は憧れの存在で、整備士は『なりたい職業』のひとつ。モチベーションと志が高いことが彼らの特徴で、むしろ好んで残業したがります」

外国人を受け入れる際によく問題となるのは、文化や習慣の違いです。その点に関しても、「カンボジアは仏教国で、人口の98%が仏教を信仰しています。戒律も厳しくなく、日本人と同じ考え方やスタイルで生活できます。職場にもすぐに馴染めますから、雇用する側からすると大きな魅力だと思います」と加藤社長は太鼓判を押します。

異国の地で働くカンボジア人整備士たちは、見えないところでストレスを溜め込んだり悩んだりすることもあるかもしれません。就労後のフォローのために、リネットジャパンHRでは、加藤社長が「日本人より日本語が達者なカンボジア人」と評するニアック・ルッティーさん(来日9年目、日本語能力試験で最難関のN1認定)が、カンボジア人整備士たちのカウンセリングやフォローに当たっています。

加藤社長と国内HR室 国内HR営業グループ ニアック・ルッティーさん

 

 

 

 

 

もちろんカンボジア人整備士を雇用しても、入ったその日から即戦力としての活躍は期待できないかもしれません。だからといって二の足を踏んでいては、状況は悪化するばかり。日本の生産年齢人口は今後も加速度的に減少を続け、外国人を活用せずに生き残るのは難しいと言わざるを得ません。日本で働きたいと希望する人材がいるうちに、彼らとの共存を真剣に考えておく必要があります。

「5~10年のスパンで考えると、日本では急激に生産労働人口が減っていきます。日本を元気にするためにはアジアの若者が必要で、お互いが気持ちよく活動できるようにならなければ日本は弱体化の一途を辿るでしょう。私たちは雇用する側・雇用される側の双方にとって『フェア』なかたちで前向きに働ける仕組みを作り、日本に活力を取り戻したいと願っています」(加藤社長)

現状の打破に必要なのは、新たな取り組みをスタートさせること。手遅れになってから慌てて動き始めるのではなく、いま新たな一歩を踏み出せるかどうかが、今後の展開に大きな影響を与えることは間違いありません。人材不足に悩んでいる整備工場は、カンボジア人整備要員の活用を考えてみてはいかがでしょうか。

リネットジャパンHR株式会社 ウエブサイト

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(掲載日)2021年3月26日

 

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