海外人材活用紹介の第三弾です。カンボジア人、日系ブラジル人に続くのは?
ネパール人の「共助の精神」とは?
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『人手不足』──このワードを耳にしない日はないと言っても過言ではないほど、人手不足に関するニュースが連日メディアを賑わせています。コロナ禍以前から、コンビニやレストランチェーンなどでは、人手不足を理由に出店計画の見直しや営業時間の変更を迫られるなど対応を余儀なくされてきました。同じことが日本中のあらゆる業界で起こっており、整備業界も例外ではありません。
人手不足を解消しようと思えば、『これまで採用できてこなかった人材』を新たに獲得する必要があります。例として、まず『シニア』や『女性』の活用が考えられるでしょう。経験を積んだ『シニア』の雇用は短期的な解決策としては有効ですが、中長期的な戦力として期待できるかと言えば、厳しいと言わざるを得ません。『女性』の場合はさらに難しく、そもそもクルマに興味を持っている人の絶対数が多くありませんし、整備となるとなおさらです。これらを踏まえると、最も有効な解決策として期待できるのは、『外国人』の活用になります。
ナルネットコミュニケーションズは2021年1月、ネパール人などの外国人人財サービス等を提供する株式会社JJS(以下JJS)と、自動車整備工場向け人材紹介サービスを開始するため業務提携を結びました。JJSは、2017年創業の若い企業ながら東京とネパールに拠点を構え、ネパールやヴェトナムなど東南アジアから正規の手続きを経た外国人財を日本企業に紹介しています。今回はそのJJSを訪ね、松里優祐社長とコイララ・デベンドラさんに話を伺いました。
さて、在留外国人で最も人口が多いのは中国人ですが、この数年でネパール人やヴェトナム人が急増しています。特に、JJSが多くの紹介実績を誇るネパール人はこの10年で数倍の伸びを見せており、現在約10万人が日本で働いたり生活したりしています。
ネパールという単語と、『クルマ』『自動車整備』というワードはダイレクトに結びつきません。はたして自動車整備の仕事に興味を持っているネパール人財はいるのでしょうか。松里社長から、意外な答えが返ってきました。
「ネパールではクルマがひじょうに高価で、簡単には手に入りません。そのためか、かつての日本がそうだったように、ネパール人はクルマが大好きで、クルマに乗ること、所有することに対して強い憧れを持っています。それに付随して、自動車整備の仕事もすこぶる人気が高いのです」(松里社長)
『好きこそものの上手なれ』という慣用句がある一方で、『下手の横好き』という表現もあります。『好き』だからという理由だけで仕事が続くとは限りませんし、特に外国人が日本で働く場合には、『環境に適応できるのか』『日本人とうまく付き合っていけるのか』といった別の諸問題がさらに高いハードルとして立ちはだかってきます。
いくら在留人口が増加しているといっても、ネパール人と直に接したことがある人は少ないはず。採用する側としても、ネパール人がどのような気質、特性を持っているか気になる人が多いに違いありません。JJSで在留外国人の就職サポートやカウンセリングを担当しているコイララさん(来日11年目のネパール人、日本で博士号取得予定)は、ネパール人の性格について次のように説明します。
「助け合いや思いやりの気持ちを持った人が多いですね。仕事もお互いに手伝い合いながら進めていきますから、職場における協調性は高いと思います。一方で、楽観的な性格の持ち主が多いためか、日本人から見ると『大雑把』に映るところがあるかもしれません」(コイララさん)
ネパールは後発開発途上国(最貧国とも呼ばれます)のひとつに数えられるほど貧しいため、自然な成り行きとして共助の精神が育まれてきたようです。加えて、かつて『カースト制(ヒンドゥー教における身分制度)』を採用していたことも、ネパール人の気質形成に大きな影響を及ぼしていると言います。
「ネパールのカースト制は1962年に廃止されましたが、人々の間では当時の意識が今も残っています。幸か不幸か、カースト制を敷いていた影響でネパール人は仲間意識を強く持つようになり、他人との助け合いを生活の基礎とするようになりました。また、目上の人を敬う気持ちを持っているため、日本社会には馴染みやすいと思います」(コイララさん)
JJSでは、これまで介護やホテルなどの分野に多くのネパール人を紹介してきた実績があります。紹介先では、ネパール人はどのような評価を獲得しているのでしょうか。松里社長は説明します。
「多いのは、『日本人よりもまじめに働く』という評価です。私もネパール人といっしょに働いていますが、同意見ですね。指示したことは、最後まできっちりこなしてくれます。個人的に素晴らしいと思っている点を付け加えると、ネパール人にはとにかく『明るい』人が多いという印象ですね。採用すれば、職場に新鮮な雰囲気をもたらしてくれるはずです。コイララも言ったように楽天的な人が多いですし、目上の人を尊重する文化で育ってきていますから、職場にも溶け込みやすいと思います」(松里社長)
ネパール人が自動車整備士として働くためには、2019年に新設された在留資格『特定技能1号』ビザを取得する必要があります。このビザの取得には『日本語能力試験(JLPT)』のN4レベル、『特定技能評価試験』に合格することが必須。ハードルは低いとは言えませんが、『日本で働きたい』『自動車整備の仕事に就きたい』という強い意欲とモチベーションさえあれば、乗り越えることは難しくないでしょう。むしろ困難なのは、「雇用される側と雇用する側の相互理解を築くこと」と松里社長は言います。
「せっかく外国人を雇用したのに、外国人に対する理解が薄かったり受け入れ体制が整っていなかったりして辞められてしまっては意味がありません。一方で、雇用された外国人が、日本の職場の慣習や文化への理解が不足していたために仕事への意欲を失ったりトラブルを起こしてしまったりしても意味がありません。弊社では、外国人に日本人理解を深める教育を提供し、日本人への理解を深めてもらってから紹介することをコンセプトとしており、外国人向けの研修のほか、外国人を受け入れる企業に対しても外国人雇用に関するセミナーを開催して、相互理解の醸成に務めています」(松里社長)
『特定技能1号』の外国人を雇用した企業は、日本での生活や就労の支援を行なう支援計画の作成と提出、そして計画の実行が求められます。その遂行には専門的な知識が必要になるケースがあり、手続きも複雑なことから、支援に苦労している雇用主は少なくありません。JJSは、受入企業から委託を受けて支援計画の作成、実施を行なうことができる『登録支援機関』に認定されており、松里社長は『支援にお困りなら、手慣れた弊社を上手に活用してほしい」と自信を覗かせます。
少子高齢化が進む日本において、人手不足、そして採用難は「待っていれば、いつか状況が改善する」という類の問題ではありません。放置していると、必ず手に負えなくなる時期がやって来ます。いま現実を直視して対応しなければ、いずれ現実のほうが工場を飲み込んでしまいます。人手不足の問題に真剣に向き合いたいと考えている工場は、一度JJSを訪ねてみてはいかがでしょうか。
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