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未曽有の危機にどう立ち向かったのか ナルネットの『コロナ戦記』(前編)

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座談会はナルネット本社にて、オンラインによる参加リモート2人を含む7人で行われました。

いまだ収束の兆しが見えない新型コロナウルスの流行。コロナ禍は、世界中のあらゆる国、機関、企業、個人に大きな試練を与え、ナルネットコミュニケーションズも危機に直面しました。人や組織の真価は未知の局面を前にしたときに問われると言いますが、猛威を振るう未知のウイルスに対し、ナルネットはどう立ち向かったのでしょうか。今回は、経営幹部を中心として、実際にコロナ対策の陣頭指揮に当たったみなさんによる振り返り座談会をお届けします。

衝撃だった東京支店の閉鎖

鈴木隆志
代表取締役社長

 

 

 


ー鈴木

さっそくですが、日本で新型コロナウィルスの感染が拡大し始めたのは今から約2年前、2020年2月の中旬ごろでした。当時は、新型コロナウィルスが見つかって間もない時期で、症状なども含めて『実際のところは何もわからない』という状態だったため、初動対応に苦慮しましたよね。

ー大賀正寛 執行役員 財務経理部 部長(リモート参加)
まず、インフルエンザ流行時と同様の予防対策や、発症時の対応法について社内に通達し、注意を促しました。例えば、「濃厚接触者に接近した場合は、10日間はマスクをして過ごしましょう」といった対応策をまとめてお知らせしたんです。そういった軽度の対応からナルネットのコロナ対策はスタートしました。

ー鈴木
実態が不明だったから、しばらくはそれで凌ぐしか手が見当たりませんでしたよね。事態が急変したのは、3月に入ってからでした。今でもよく覚えていますが、2020年3月25日(水)の夜、東京都の小池百合子都知事が緊急記者会見を開きました。都内での感染者急増を受け、小池都知事は『感染爆発 重大局面』と記したフリップボードを掲げ、「3密の回避」「イベントへの参加の自粛」などを呼びかけたのです。これは大変なことになってきたなと、すぐに部長職以上に呼びかけ、ナルネットとしての対応を協議しました。

ー大賀
最優先で検討したことは、東京都新宿区内にある東京支店の社員の身を守ることです。彼らは電車通勤の為、出社勤務しなくてすむ方法を検討し、在宅勤務への移行と、可能な社員は本社へ臨時出張を促しました。小池都知事の緊急記者会見は水曜日でしたから、翌々日の金曜日、すなわち3月27日からリモートワークを実施することを企図し、そのために必要な項目を洗い出していきました。
なかでも重要だったのは、在宅でも支障なく業務を遂行するために、業務システムを調整することです。そして実際に、東京支店は2020年3月27日(金)からリモートワークに切り替えています。これにより、東京支店は事実上の閉鎖となりました。

加藤浩太
人事総務部
人事総務グループ
マネージャー

 

 

ー加藤
私にとっては入社前の出来事になりますが、たった1日でリモートワークに切り替えたということですよね。スピーディーな対応に驚きを禁じ得ませんが、苦労も多かったのでは?

蔭山進二
情報システム部 部長

 

 

 


ー蔭山

そうですね。リモートワーク用のソフトを探し出して、それを設定し、なおかつ使用できるように調整して、というプロセスをほぼ1日で完結させなければなりませんでしたから。今にして思えば、よく1日で完遂できたなと。

ー鈴木
東京支店の即時閉鎖という決断に至った背景として、マイカー通勤者が多い地方の営業所と異なり、東京は電車通勤者がメインで、人口過密地域のため通勤時の感染リスクが極めて高いと考えました。そこで在宅勤務を推進したのですが、それに伴い、別の問題が浮上しました。
ひとつは、在宅勤務に欠かせないコンピュータ端末の外部への持ち出し問題です。もともとセキュリティ確保の観点から、ナルネットでは端末の持ち出しを禁止していましたからね。

ー蔭山
在宅勤務に移行すると、隙を突いたサイバー攻撃や情報漏洩等のリスクが増大しますから、限られた時間の中で、高い安全性を保ったまま外部接続を可能にするソフトを探し出して、とりいそぎ仮導入しました。もっとも、それはあくまでも急場凌ぎの措置で、実際に基幹システムを調整して本導入するまでには1週間ほど時間がかかりましたね。

永冶健
執行役員 MT推進部 部長

 

 

 


ー永冶

仮導入だったから仕方がありませんが、最初はとにかく操作性が悪かったですよね。パソコンの画面の切り替えも遅いし、在宅勤務者の自宅の通信状況もまちまちだったためスムーズにやり取りができないなど、東京支店の社員はみんなイライラしながら仕事をしていたのではないかなと推察しています。

ー鈴木
東京支店のリモートワーク実施や一部業務の本社代行などを行いましたが、充分な対応ではありませんが提携整備工場さまやお客さまにご迷惑をかけずに業務を継続できる最低限の体制を整えました。こうして東京支店の対策が一段落したことで、いよいよ本社内の対策が始まることになります。試行錯誤を繰り返しましたが、様々な取り組みを進めていました。

ー大賀
当初は「とにかく感染を防ぐ」ことを念頭に置いて、対策を進めていました。例えば、「換気をこまめに行なう」「消毒を徹底する」などです。会社に常備していた消毒に使う除菌シートを使用したり、社員にマスクを配布したりもしました。また、食堂での密解消を目的に、「休憩時間をずらす」「椅子を間引く」などの対策も実施。さらに、何かに手で触れることを避けるために、手で触れずに捨てられるごみ箱も採用しています。

ー森本雄亮 カスタマーサービス部 西日本サービスグループ マネージャー(リモート参加)
今となってはどれもごく当たり前の対策ですけど、当時はあらゆることが初めてのはずで、試行錯誤しながら進めなければいけなかったから大変でしたよね。他にも、出張を制限したり、会議の参加人数を減らしたりなど、いろいろな対策が記憶に残っています。

ー鈴木
この段階までは、「外部での感染を防ぐ」ことを強く意識していました。東京支店閉鎖もその一環でしたし、通勤や外部訪問の抑制も同様の意図です。その次に進めていったのが、先ほど大賀部長や森本マネージャーから説明があった「内部での感染を防ぐ」ことです。このときには、伊藤マネージャーに奮闘してもらいました。とにかく、目に見えないウイルスを消毒作業や換気をすることで可視化したかったんです。

伊藤有里子
財務経理部 マネージャー

 

 

 

ー伊藤
そうですね。大変だったのは、除菌シートとアルコール消毒液の確保でした。エタノールの除菌効果が最も高まるのは濃度70~80%であることを知り、適切な濃度のアルコール消毒液を入手するため奔走しました。

ー鈴木
除菌シートをはじめとする消毒用ツールが手元にないと、社員が不安になりますからね。入手困難だったにも関わらず、伊藤マネージャーにはよくがんばってもらいました。

ー伊藤
最初のころは、アルコール消毒液の確保も難しく、わずかに在庫保管してあった消毒液を小分けにして社内のいたるところに設置することを考えました。しかしその小分けボトルですらも入荷時期未定、との連絡が続き、結果的に入荷の見込みすら立たなくなるような状況でした。そこで社員に対し、不要になった中古のスプレーボトルがないかを募るなど、できる限りのことをしましたね。

ー永冶
そう言えば、パソコンの設定変更も必要でしたよね。

ー蔭山
そうそう。セキュリティ上の観点から、もともとパソコンに内蔵されているwebカメラの機能を無効にしていたんですよ。そのため、ZOOMでのオンライン会議やミーティング開催時の利便性が悪いという問題が浮上しました。webカメラが使えない、というのは意外な盲点でしたね。

ー加藤
除菌シートやアルコール消毒液のほか、パソコンや通信機器など新たに購入が必要となったものも多かったんですね。仕方がないとはいえ、会社としては「痛い出費」になったのではないでしょうか。

ー鈴木
通常ならそう捉えるところですけど、その一方で、通勤や外部訪問、交際費が急減していました。交際費に限って言えば、毎月数十万円単位で減少していきましたからね。

ー大賀
そうですね。2020年度、2021年度は、交際費がコロナ禍以前の半分以下に減少しましたから。

ー森本
変わったという意味では、出入り口をすべて開放したことも印象に残っていますね。それまではICカードで入退室を管理していましたが、それを解除して開けっ放しにしたため、換気性がグンと高まりました。感染リスクの低下はもちろんのこと、ICカードの携帯を忘れて、どこかに閉じ込められるというリスクもなくなりました(笑)。

ー鈴木
別の意味のリスクが高まったという意味で、それもけっこう大きな変化でしたよね。春日井市はどちらかというとのんびりしたところだけれども、だからと言って不審者が侵入する可能性がゼロではないわけだから……(次回に続く)


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(掲載日)2022年2月28日

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